二本松有機農業研究会 大内督さん「有機農家が経験したこと」 事前学習会②の2

事前学習会②の2 二本松有機農業研究会 大内督さん「有機農家が経験したこと」

大内さんは東日本大震災と原発事故の前から続く有機農業の継承者。お父さんから受け継いだ田畑を大切に守ってきました。

しかし、原発事故の影響が二本松にもおよび、目に見えない放射能に苦しむことになってしまいました。震災時はホウレンソウや小松菜、キャベツ、ブロッコリーなどが葉を広げ、土を汚染から守ってくれました。しかしその野菜をすべて抜き、5日間作業して竹林に埋めたそうです。その時の辛さを思い、拝む気持ちで埋めたそうです。

ホウレンソウは洗っても1000Bq/kgを超え、小松菜も800Bq/kgを超えていたそうです。それだけ、放射性物質を直接受け止め、畑を守ってくれたのではないでしょうか?

 

冬野菜が有機農業で大事なのは、豊かな微生物の力で営まれる自然の循環だとのこと。生き物の命を絶やさず、その力を借りて土壌を豊かにし、作物を育てる農法です。微生物のおかげで米ぬかや油かすが分解され、栄養分が作物に吸収されます。すると小さな生き物が増え、自然界の食物連鎖も保たれます。

そこで、有機農業にとって大切な土をできるだけ削らず、下の方にある土と上面の土を入れ替え(深耕)、放射線量を下げる努力をしたそうです。国からの指導で撒くことになったカリウム肥料もエコカリ(サトウキビの焼却灰)を指定し、今も毎年撒いているとのこと。

また、同じく指導により放射性物質のセシウムを吸着する鉱物(ゼオライト)を撒き、作物が放射性物質を吸わないようにしました。もともと自然のミネラル分が豊富な土だったこと、粘土質だったことが幸いし、農作物への放射能移行を押さえることが出来たと話して聞かせてくださいました。

そして、有機農業の仲間たちで農産物の放射線測定を徹底しているとのこと。安心できる農作物を食べてもらうための努力を重ねてきたそうです。

震災で大内さんが考えたのが雑草対策でした。お米の収量を増やそうと肥料を入れると、その栄養が雑草の成長にも使われ、対策が必要になります。原発事故の影響でお米が売れなくなったとき、大内さんは無肥料(前年の切り株から自然に供給されるチッソを除く)に切り替えました。

今は一回も除草に入らずに育つ一等米がとれるようになりました。育苗期間を長くとり、播種量も少なめにし、深水管理にしたそうです。深い水でもたくましく育つ苗を育てるのがコツだったとのこと。震災前よりわずかな減産で済むうえに手間がかからず、原発事故を機に方向転換ができた一面もあるそうです。

大内さんからは農薬の話もありました。今までは表面にかけて虫を寄せ付けない働きがありました。しかし今、ネオニコチノイド系農薬が出回ってきました。ネオニコは浸透性なので植物に吸収され、水でも流せません。この農薬が多動障害などの原因になっているといく研究もあります。

「特栽」といっても、ネオニコを使って農薬を使う回数を減らしただけで、実は危険な可能性があります。参加した保護者の皆さんも真剣に耳を傾けてくださったものと思います。

 

こうした有機農家としての前向きな取り組みのおかげで農産物を出荷できることが確認されています。震災前は食品の安全について意識が高まり、宣伝しなくても買って下さる顔の見えるお客さんが多かったそうです。震災後離れてしまった個人客も徐々に回復し、取引先も改善し、以前の日常を取り戻しつつあるようです。「とにかく測定する」ことを意識して農業に従事しているとのこと。

一方、長い屋外作業時間で受ける外部被曝は、アスファルトの道路を通勤・通学し、多くの時間を会社や学校など建物の中で暮らす都市生活者と比べると高い傾向にあるようです。お客さんからもこの点を心配する声が寄せられているそうです。農作物の安全は確認されているとはいえ、農家さんの仕事に関わる被ばくの低減が、どこまで真剣に議論され、対応されているのか?大内さんが明るく前向きで自信と活力にあふれているだけに、農家の皆さんの健康もきちんと守られるべきだと感じました。

子どもたちのため、丁寧に説明してくれた大内さんのお話に、有機農家の皆さんの農作物への、自然や環境への深い愛を感じる時間となりました。大内さんからは最後に、皆さんも無駄な電気を消すなど、日常生活で気を付けることで電気の消費量を減らすことを考えて下さいとのメッセージをいただきました。

震災後の有機農業について説明する大内さん

震災後の有機農業について説明する大内さん

後ろに見えるのが大内さんの田んぼ

後ろに見えるのが大内さんの田んぼ

感想を述べるひまわり大使

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